enterotype_edited_edited_edited.png

エンテロタイプ
について

NHK クローズアップ現代(2022.6.20)でも紹介して頂きました、

我々の進める研究プロジェクト

「日本人のエンテロタイプ」

について紹介します

エンテロタイプとは

腸内細菌叢を構成する細菌の種類や存在比は個人よって異なっています。そのため、原則として一人ひとりが固有の腸内細菌叢をもっていることになります。一方で、一人ひとりに固有とはいえ、風土や食生活などの生活環境・条件が近い場合は腸内細菌叢が類似することがあり、例えば同じ国の人々は他国の人々に比べると腸内細菌叢が類似することが知られています。この腸内細菌叢に一定の類似性がある点に着目し、腸内細菌叢を血液型のように型(タイプ)に分ける試みが欧米を中心に行われ、2011年にはArumugam et al.(Nature)によって、ヒトの腸内細菌叢は3つのタイプに分けられることが報告されました。この際、分類された3つの腸内細菌叢のタイプを「エンテロタイプ」と呼ぶことも併せて提案されています。

上述のArumugam et al.によって報告された3つのエンテロタイプは、腸内細菌のうちBacteroides属という細菌の占有率が高いエンテロタイプ1、Prevotella属の占有率が高いエンテロタイプ2、Ruminococcus属の占有率が高いエンテロタイプ3で、これらは現在ではそれぞれのタイプを特徴づける細菌属の頭文字をとって、Bタイプ、Pタイプ、Rタイプと呼ばれることが多くなっています。また、Arumugamの1年後、2012年には、Holmes et al.(PLoS One)によって、有用菌としても知られるFaecalibacterium属の占有率を基準にBタイプを更にB1、B2タイプの2つに分けるエンテロタイプも提唱されました。B1タイプはB2タイプよりもFaecalibacterium属の占有率が高いタイプとされています。

欧米で提唱された
エンテロタイプ

日本人の
エンテロタイプ

Arumugam et al.のエンテロタイプは3種類とシンプルでとてもわかりやすいのですが、上述のHolmes et al.でBタイプが2つのタイプに分けられたように、人種や居住国、年齢、性別に関係なく定義されるものと結論付けるのは難しいと言わざるを得ない研究が複数報告されています。特に、我々、日本人の腸内細菌叢は、欧米や中国などの諸外国の国民のそれとは顕著に異なっていることが報告されていて(Nishijima et al. 2016, DNA Res)、上述の3タイプまたは4タイプのエンテロタイプを素直に日本人にも当てはめて良いかについては大いに議論の余地がありました。

そこで我々(京都府立医科大学と摂南大学の研究チーム)は、数年間に渡り日本人のサンプル採取を続け、日本人1,800余名の腸内細菌叢からエンテロタイプの定義を行いました(Takagi, Inoue et al. 2022, Microorganisms)。我々の研究の特色は、300名弱の健常者に加え10を超える疾患患者も対象者としていることです。

我々の研究で得られた日本人のエンテロタイプは5タイプでした。この5タイプは簡易には上述の4タイプ(B1、B2、P、Rタイプ)にBifidobacterium属の占有率が顕著に高い「Bifタイプ」を加えた5種類と説明できます(下図)。

enterotype2.png

まだまだ研究途中の日本人のエンテロタイプですが、現在わかっている5つのタイプの特徴を簡単にまとめてみました。(*Takagi, Inoue et al, 2022, Microorganismのデータを基にまとめています)

Type A

敢えて欧米の分け方に従ってRタイプとしていますが、Ruminococcus属ではなくて、Ruminococcus科(属と科では細菌の分類階層が違います)が多いタイプです。炎症性腸疾患、大腸がん、過敏性大腸症候群との関連性が示唆されているStreptococcus属(Priya et al. 2022, Nature Microb)の占有率がType Dに次いで高いタイプです。

Type B

Bacteroides属が多いタイプです。Faecalibacterium属については、同じBacteroides属が多いType Cと比べると高いですが、Type A、D、Eと比べて顕著に高いわけではありません。健康に良い酪酸を作る菌(酪酸菌)が多いタイプのようです。

Type C

Bacteroides属が多く、Faecalibacterium属は5タイプの中で最も低いタイプです。Faecalibacterium属の低下は炎症性腸疾患などで見られますが、これに合わせてFusobacterium属やProteus属といった腸の炎症との関係が示唆されている細菌が高いタイプです。

Type D

Bifidobacterium属の占有率が顕著に高いタイプです。我々のこれまでの経験からすると、少しBifidobacterium属の占有率が高すぎるという印象もあります。また、上述のStreptococcus属の占有率が5つのタイプの中で最も高いという特徴があります。

Type E

Prevotella属が多いタイプで、5つのタイプのなかでも最も健常者が多く含まれるタイプです。Prevotella属が多いタイプはBacteroides属が多いタイプよりも健康という海外での複数の報告あるので、これらと我々の結果は合致するといえます。

日本人の
エンテロタイプの特徴

エンテロタイプに関する今後の展望

我々は、今後も日本人のエンテロタイプについての研究を進めていくつもりです。ひとつ現時点で言えるのは「エンテロタイプは血液型と違って変えることができる」ということです。腸内細菌叢は日々の食事や運動などの生活習慣、そしてストレスとも関係していると言われています。これらを変えることでエンテロタイプはほぼ間違いなく変わります。

ただ、「どのタイプの人はどうすれば変わるのか?」これはまだ明確にはわかっておらず、さらなる研究が必要です。まずは、エンテロタイプと関連する生活習慣(食事や運動週間など)や疾病を明らかにしたいと考えています。

自分の腸内細菌叢が我々の定義した日本人のエンテロタイプのうち、どのタイプにあたるかを調べることができます。摂南大学、京都府立医科大学、医療系ベンチャー企業の3者で社会実装した「Flora Scan」という検査サービスを受けることで知ることができます。測定は摂南大学発のベンチャー企業「Flora Discovery」にて実施しています!

なんと、枚方市のふるさと納税の返礼品としても利用することができます。

「生活習慣大丈夫かな?」という人は、是非ご自身のエンテロタイプを調べて見て下さい!

自分のエンテロタイプを知る!?